日本市場の動向と金利・為替の状況
長期金利は2008年以来の高水準に
21日の債券市場では、新発10年国債利回りが2008年以来の高水準まで上昇しました。背景には日銀の追加利上げ観測や、財政拡大に伴う国債増発懸念があります。市場では「10月までに利上げの可能性は約5割」と織り込まれつつあります。
新発20年国債も1999年以来の水準に上昇。需給面では超長期債の買い手不足が続き、利回りの一段高を招いています。
為替は1ドル=147円台半ば
為替市場では円が1ドル=147円台半ばで推移。ジャクソンホール会合を控え、パウエルFRB議長の講演待ちの状態で、方向感の出にくい展開が続きました。
東京株式市場の推移と特徴
日経平均は3日続落
本日の日経平均株価は前日比278円安の4万2610円で3日続落となりました。主力株の自動車、医薬品、情報通信などが軟調となり、株価を押し下げました。
一方で、AI関連株や素材株には押し目買いが入り、小型株指数はプラスで引けています。売買代金は4兆円規模にとどまり、機関投資家は重要イベントを前に積極的な売買を控える姿勢でした。
日経平均は調整局面入りを示唆する動きですが、下げ幅は昨日より縮小しており、売り圧力が弱まっている足形にも見えます。今のところ「スピード調整」の範囲と捉えられ、投資家心理が過度に弱気に傾いている状況ではないと考えます。
AI関連株の現状と展望
米国ではAI株の割高感を指摘する声が出ていますが、実際には「買いたい弱気」による調整であり、バブル崩壊にはまだ距離があります。過去のサイクル同様、調整の後に再び買い直される流れが続いています。
日本市場ではむしろAI関連株の本格相場はこれからであり、出世株候補が豊富に控えている段階です。米国に比べて出遅れ感が強く、資金循環の中で注目度が高まる可能性があります。
投資部門別売買動向(8月第2週)
海外投資家が大幅買い越し
東証が発表した8月第2週(12日~15日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物で5737億円、先物で1兆1768億円を買い越し、合算で1兆7506億円に達しました。これにより日経平均は史上最高値4万3378円を更新しました。
個人投資家と信託銀行は利益確定
- 個人投資家は2週連続の売り越しで、売越額は1兆1253億円と大きく拡大。
- **信託銀行(年金基金)**も3週連続売り越し(2165億円)。
- 一方、証券会社の自己売買部門は4週連続で買い越し、7360億円に達しました。
💡 私の視点:日経平均の最高値更新を押し上げたのは海外勢の圧倒的な買い。一方で国内勢は利益確定に動いており、「海外主導・国内慎重」という市場構図が際立っています。
明日の注目イベント(8月22日)
- 日本:7月CPI(消費者物価指数)、短期国債入札、スーパー売上高
- 海外:英小売売上高、ジャクソンホール会合(パウエルFRB議長講演=日本時間23時)
- 週末:日韓首脳会談(23~24日)
市場は特にパウエル議長の発言に注目しており、9月利下げの可能性にどう言及するかが最大の焦点となります。
私の注目と考え方
本日の日経平均は続落しましたが、下げ幅縮小=売り圧力の和らぎを示唆しています。方向感が見えないなかでも、化学セクターに資金流入が見られるなど、テーマごとの物色は続いています。
銘柄推奨ではありませんが、8月22日の注目銘柄として冨士ダイス、アイスタイル、SUMINOE、ニデック、イーグランド、ランディックスを挙げておきます。需給やテーマ性から注目度が高まると見ています。
👉 投資は必ず自己責任でお願いいたします。
冨士ダイス(6167)
精密金型や超硬工具の製造を手がける企業。金型の更新需要や自動車・電子部品業界の生産動向に影響を受けやすい銘柄です。最近はEV向け部材加工や半導体関連の工具需要が注目されており、需給妙味から短期資金が流入する場面もあります。株価は出来高を伴いながら切り返す兆しを見せており、短期のテーマ株循環に組み込まれる可能性があります。
アイスタイル(3660)
化粧品口コミサイト「@cosme」を運営。化粧品ECの拡大や、訪日需要の回復が追い風となっています。特に中国・東南アジアからのインバウンド需要が増えており、免税売上回復が株価テーマになりやすい銘柄です。直近はEC事業が収益寄与を強めており、成長期待と需給思惑が絡み合う展開となっています。消費関連株の一角として資金流入が続く可能性に注目しています。
SUMINOE(スミノエ工業:3501)
カーペットやカーテンなどのインテリア事業、車両用床材を手掛ける老舗メーカー。インバウンド関連需要やオフィスリニューアル需要の回復が業績に反映されつつあります。加えて、EV・鉄道など輸送機器向け素材への展開も進んでおり、中期的に構造改善が評価されやすい局面。株価は地味ながらテーマ性を秘めており、循環物色の対象になりやすい特徴があります。
ニデック(6594)
モータ専業から総合電機メーカーへと成長してきた大手企業。特にEV駆動モータ事業が注目の中心で、世界シェア拡大に向けて攻勢を強めています。足元では中国市場の調整懸念があるものの、中長期的には世界的なEVシフトに伴い再評価されやすい位置。直近では為替の円安基調が業績追い風となる点も注目です。株価は調整を経て押し目狙いの動きが入りやすくなっています。
イーグランド(3294)
中古住宅の再生・販売を行う不動産企業。リフォーム・リノベーション需要の高まりや、都市部での中古住宅ニーズ拡大が追い風です。政策的にも住宅ストックの活用が促されており、中期成長テーマを持つ銘柄。株価は小型不動産株らしく値動きが軽く、需給次第で短期的に大きな値幅を狙える特徴があります。資金循環の中で物色対象となる局面に注目です。
ランディックス(2981)
城南エリアを中心に富裕層向け不動産仲介・販売を展開。高価格帯住宅市場に特化しているため、一般的な不動産市況とはやや異なる動きを示すのが特徴です。富裕層の資産防衛ニーズや相続関連需要を背景に、底堅い業績基盤があります。直近では不動産関連セクターへの資金回帰もあり、株価が物色対象となりやすい局面。小型株特有の値動きの軽さにも注目です。
市況総括
- 金利:2008年以来の水準まで上昇し、金融政策や財政不安が意識されている。
- 株式:日経平均は3日続落。ただし下げ幅縮小で売り圧力は弱まりつつある。
- AI関連:日本市場は米国に比べ出遅れ感が強く、今後の成長余地大。
- 投資部門別:海外投資家が圧倒的な買い越しで最高値を牽引。国内は利益確定に回った。
- 注目イベント:8月22日のCPI発表とジャクソンホール会合が最大の焦点。
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